"X"は、よりふくざつな 人間的思考能力をもつ、新しいタイプのロボットである。
しかしこの能力は、非常に 危険なものでもある。
もし"X"が、「ロボットは 人間をきずつけてはいけない」というロボット工学の原則を 自らの意志でやぶったならば、
おそらく 何者も 彼をとめることはできず、結果は 恐しいものとなるだろう。
30年もあれば、彼の安全性をたしかめることは 可能である。
しかし、私の命もそうながくはなく、私の研究をたくせる者もいない。
それゆえ 私は、このカプセルに 彼を 封印する。
このカプセルは、彼の安全性をたしかめるまで 彼の内部こうぞうを 検査してくれるものである。
そのときまで、どうかカプセルをあけないでもらいたい。
"X"は無限の可能性と共に、無限の危険性をもはらんでいる。
私はただ、さいりょうの結果をのぞむのみである。
20XX年 9月18日 トーマス ライト
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